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クライマーズ・ハイ

またまた良書に出会う。

20081221.jpg

横山秀夫の「クライマーズ・ハイ

1985年に群馬の御巣鷹山で発生し
520名もの死者を出したJAL123便の墜落事故。
この、航空機史上最悪とも言われる事故を舞台にした
一人の地元新聞記者の物語です。

うーん、と文字通り唸った。
今年公開された映画やNHKのドラマも好評みたいですね。
そっちも見てみたいぞ。


続きは、例によって長文だから、
興味のある方だけ、おやつ持参でどうぞ。
事故当時、横山秀夫は実際に地元新聞の記者として
御巣鷹山に登り事故現場に立ち会った一人だそう。
それだけに、この物語はフィクションではあるけど
ものすごくリアル、というか、鬼気迫るものがあります。

「これを書くには17年間の歳月を要した」
と著者自身も語るように、一人の人間が受け止め語るには、
この歴史的事実はあまりに巨大過ぎる。

17年の歳月を経ても尚、体内に篭り続け
爪の先から脳まで全身を火照らせ痺れさせる
熱い熱量が伝わって来るのです。


さてさて。

物語は、飛行機事故そのものを描いたものではなく、
事件を通し、新聞社の中の人間模様を通し、
自分が向き合うべきものにきちんと向き合う
というココロ葛藤を描いたもの。

ブン屋ってのは、本当にこんなに荒れているのか。
誇張があるのかどうか実際はわかりませんが、
本当にココロの肉弾戦! って感じだ。

自分だったら、戦うも何も、
劇中で、自殺する望月という青年と同じく、
3日でウツ病になりそうである・・・。

思えば、日頃、職場でもそれ以外でも、
怒鳴りあったり、本音を吐きあったりという事が、久しくない。

戦えば、勝手も負けても傷を負ってしまう。
怪我しなくても相手に怪我を負わせたら同じ事だ。

戦って、傷つけて怪我をして、立ち直って、また手負いになって。
それを繰り返すようなこともあったけど
漫画みたいにその度に無限に強くなるような事はなくて
何時の間にやら諍いを避けるようになってしまった。

「やる気ないなら帰ってろ、バカヤロー!」

そういって部活の後輩を怒鳴りつけるぐらい
私がいちいち「本気」だったのは遠い昔。

ケンカしろってことじゃなくて。
戦う事、本気で向き合う事から目を背けてる?
今の自分を見つめてみれば、そう思うような事がしばしばあって。

べつにガチンコ万歳と言ってるわけではありません。
色んな考え方、生き方があって、自分に合ったやり方ってのがある。
そして自分にはたぶん向いてません。
空気読めないので・・・(苦笑)

ただ、中途半端に疑問を抱くようじゃ後悔するんだろうな。
何でもやるならフルスイングしとくべきじゃないだろうか?
そんな風に思ったわけです。


「何故、山に登るのか?」

この、主人公の悠木の在り来たりの問いに対する

「下りるために登るんさ」

という、同僚の安西の謎かけのような答えが示すように、
人としての生き方を考えさせられる作品でした。
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