Middle Tempo Magic

大学生の頃に、友人Yと一緒にHの家に行った時のこと。

部屋に上がったものの、
主のHは二日酔いだとか言って寝込んでしまったのだ。

そうしたら、おもむろにYがこう言い出しまして。

「俺、さっき水溜りで靴下めちゃくちゃ汚しちゃってさ」

うーん、洗えば、いいんじゃないかな。
洗濯ぐらいさせてもらってもよかろう。
というわけで、勝手に洗濯開始。

そこまでは、良かったんです。
その後、まさか、あんな事になろうとは。

問題は洗い終わった後だ。
濡れて重たくなってヒンヤリと寂しそうな靴下。

とりあえず、ドライヤーで乾燥させてみる。
吹き出し口に靴下を履かせてみれば満遍なく乾きそうだ。
全くの無問題、やや苦しそうな点を除けばですが!

ブワァァァァ
アァァァァァァァアァ・・・

・・・・

ピタ(←ドライヤー)



私 「ど、どうしよう、ヒューズ飛んだ・・・？」
Y 「困ったね、まだ半渇きなんだけど」

って、そっちかい!

ドキドキする私を尻目に、
元々遠慮なんてコトバを知らないYは平然としている。
それどころか、こんな事を言い出したのだ。

「電子レンジがあるじゃん」

今なんと?
Y、恐ろしい子・・・!

こんなにも酷い仕打ちを受けようと、電子レンジは逆らわない。
それどころか、メキメキと与えられた仕事をこなすプロなのだ。

チン!

見事に3分後に任務完了。
出来上がったのは真っ白なホカホカご飯、
ではなく、ホカホカの靴下である。

「いやあ、温かいよ、オヒサマの香だよ」

いや、そういうことじゃなくて・・・。
そんな事よりさ、レンジの中、なんだか、スゴイよ。
香っていうか、なんとも言えない匂いがするんだけど!
チンしたから、変な菌は、ダイジョウブだよね・・・。

それ以来、Hが電子レンジを使うのを見るたびに
気まずい気持ちになるようになってしまいましたとさ。


ちなみに、とても耳寄りな情報。

靴下を乾かすときは「自動」ボタンでOKです。ハイ。
3分ぐらいでいい塩梅に仕上がってくれます。

まあ、「パン」とか「解凍」のボタンの横っちょに
「靴下」なんてボタンがあっても困るけど。