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女の一生

遠藤周作の「女の一生」との衝撃的な出会い。
たまらず帰り道の電車でポロポロと涙を流してしまったのでした。

この作品は「第一部・キクの場合」と
「第二部・サチ子の場合」の二本立て。

第一部は、幕末から明治にかけての長崎で実際に起きた
切支丹への弾圧事件(浦上四番崩れ)を元にした恋のお話。

第二部は、太平洋戦争のさなか、
やはり激動する時の荒波に引き裂かれていった青年と少女と、
長崎での布教活動を経てアウシュビッツの強制収容所で
亡くなった、かの、コルベ神父のお話です。
この作品を手に取ったきっかけは、
安藤裕子ねえやんの「六月十三日 強い雨」という歌でした。
この「女の一生」に感銘を受けて書いたそうで。

なんていうのかなあ。
とにかくも、とにかくも。
葉の上を転がる雨粒のようにきれいなのだ。

直向さとか、純粋であることとか、愚直である事とか。
人が生きてく上での美しさって、そこじゃないかなあ。
人が人にほんとに人のココロに触れて惹かれるのって
そういうとこだと思う。

お日様みたいに強くて真っ直ぐな心は美しいし
ずるくて弱くてどうしようもない心は愛らしい。
器用で野心満々で苦しみの無い魂には揺さぶられないよ。

さてと、結構長いお話なので、
色々な事が描かれていたのだけど
一貫したテーマはキリスト教的な愛のお話。

敬虔さのカケラもないとはいえ、自分もいちおう切支丹なので
考えさせられた事は他にも色々とあったけど、
発散しちゃうからそれは置いとくとして。

「汝の友の為に死す。それより大いなる愛はなし」
を貫いたおキクさんの生き方。
「世界に愛が無ければ、作らなければ」
と言葉を残し、実践したコルベ神父の生き方。
修平を想う純粋なサチ子の心。

うまくいえないけど、言いたい事は色々だけど。
一番は、そんなきれいな魂が、翻弄されていく姿に
すごく心を打たれてしまったのだ。

読んでハッピーな気分になる本とは違うけど
本当に読んでよかった。

ちなみに。
近代日本の宗教の自由を勝ち取るきっかけとなり、
おキクさんが祈った大浦の天主堂のマリア像は
今も当時のままそこに残っているそうだ。
長崎、行ってみたいです、というか行かないと。
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女の一生

待ってました!女の一生。
聞いたことはあったんだけど、遠藤周作作品とは露知らず。。。

今まで本を読んで涙したことないんで、
女の一生、読んでみよおかな。

ちなみに今読んでるのは村上龍の『半島を出よ』です。
もう4回目です。
  • gonta
  • 2008/07/03(Thu)21:54:59
  • 編集

別の村上さん

>gontaさん
お待たせしました!女の一生。(笑)
自分もタイトルは聞いたことがあったけど
よく考えたら高校の歴史の授業か何かで習った
モーパッサンの方ですね、きっと。

本で過去に泣いたのは記憶は、レ・ミゼラブルぐらいですね。
映画でもほとんどないような。

村上龍は名前と顔しか知らず、読んだことないのですが、
「半島を出よ」は調べてみたら面白そうですね。
近々いってみようかしら・・・。

ちなみに今は、同じく著名だけど読んだことの無い
春樹の方の村上さんを読み中です。

女の一生

泣くまでは行かないけど、目頭が熱くなったり、涙がこぼれそうになったり。
本で泣くって無い?

僕は結構ありますよ。
中島らもの「今夜すべてのバーで」とか、山本周五郎の「さぶ」とか、漫画では花田少年史&ブラックジャックなんてものウルウルきますね。

僕の場合、感情移入して涙腺が緩むというよりは、身につまされてというのが中ってる気がします。

僕の浅い知識や経験の中でも、イッパイ思うことはあるのですけど、あまりにイッパイな気がしてまとまりません。
夏に気が向いたらこんな話でもしますかネ(^_-)-☆
  • trash
  • 2008/07/05(Sat)01:16:51
  • 編集

遠藤周作さん

こんばんは☆たまごさんいとって素敵な本に出会えたようでよかったですね☆遠藤周作さんの本は過去に読んだ「海と毒薬」が印象に残っています。たまごさんがそんなに言うなら、今度読んでみようかな。
最近読んだ本だと、ドキュメンタリーですが、太田哲也さんの「クラッシュ」には生きるということ考えさせられました。
  • yuuki
  • 2008/07/05(Sat)21:42:33
  • 編集

女の一生

>trashさん
感動して泣いた!(泣きそうになった)
っていうのはあまりないですが
知覧の特攻隊の資料館で、隊員達の手紙を読んだ時には
たまらず涙が溢れてきました。

無常なものを感じたり、悔しかったり、
不憫でたまらなかったりすると、
ぐっと来てしまうみたいです。

私、語ると長いしウザイですよ(笑)
日記でお分かりだと思いますが(^-^;


>yuukiさん
遠藤周作作品は、女の一生が初めてでした。
流石に著名なので名前は知ってましたが、
ふむふむ、色々と名作を残されてるようですね。

太田哲也さんの話は興味があります。
前に飲んだ帰りに、話を聞いたことがあったような。
で、名前を忘れてしまっていたんですよ。
メモメモ、と・・・。

探し中

今日仕事帰りに探したけど、なかったので、本格的に探してみます☆
  • yuuki
  • 2008/07/08(Tue)18:46:40
  • 編集

女の一生

>yuukiさん
新潮文庫から出てますね。たしか。
ベストセラーなのでたいていは置いてあるのですが、
私もいざ探してみると、上巻がなかったです(笑)

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