Middle Tempo Magic

一言で言うと、毒映画。
これが毒をもって毒を制すな作用があるのか。
ちょうど

もうヤダヤダヤダヤダヤダ！
みんな死んじゃえ！

って世の中の見えるものみんなが欺瞞で満ちてるような
真っ黒なキモチになっていた時に、
すごく生きるパワーをくれた映画でした。

両親の訃報。
訳ありの姉妹と訳ありの腹違いの兄。
その兄と結婚相談所で知り合い結婚した兄嫁。
ぐちゃくちゃの運命。

実際には笑おうにも全く笑えないであろう
糞な状況の一家で繰り広げられる
おかしくて壮絶でやりすぎな姉妹バトル・・・！

永作博美が文字通り「体当たり」演じる、
ドMでやっぱり痛々しく、けど愛らしい兄嫁の待子さんが素敵。
永瀬正敏の不器用なお兄ちゃんも超カッコイイです。

「私が神様だったらこんな世界は作らなかった」
って歌う、主題歌のチャットモンチーの「世界が終わる夜に」も
これ以上ないぐらいにはまっていて良かった。


そして、やっぱ主役の姉妹。

佐藤江梨子が演じる姉の澄伽は、
自分が大好きで大好きで大好きで大好きな
ゴーマンで痛々しい勘違い女。

と、そんな姉にいたぶられながらも、心の底では、
「最高に面白いよ」と姉を評す地味で内気な妹の清深。
漫画を描く佐津川愛美の目が、もう、イッちゃってます。

澄伽は確かに痛々しいんだけど、彼女の

「誰もあたしをわかってくれない」
「私を必要としてくれない」

っていう心の叫びの方がずっと痛かった。
私もそうだけど、自分が大好きで大好きで大好きだ。
けど、大好きなはずの自分から目を背けずにはいられなくて
あんな風になってしまって。

逆に、兄と同じように、どっか、彼女から目を背けられなくなってしまう。
けどそれは、他人を救いたい気持ちなのか自分を救いたいのかしら。
この痛さは自分自身の痛々しさなのかもしれない・・・。
なんて、そんなキモチにもさせられてしまうのでした。

ぶつかってぶつかってぶつかって。
二人の壮絶バトルの果てに人間の底の部分まで
醜いものもみんな一気に吐露してしまうラストには、
スカっとさせられて、ブチ、テンションが上がりましたよ！

って、話してたらクドクドと長くなってしまった。
一晩中続いてしまいそうなのでここらへんで。


やっぱお姉ちゃんは最高に面白いよ！