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ジェネラル・ルージュの凱旋

正直、「凱旋」なんて言葉は
今日の日常生活ではなかなか使う機会がない、
と思うのは、私だけじゃないと思う。

というわけで。

海堂尊センセイの映画化もされて大人気の
「チーム・バチスタの栄光」「ナイチンゲールの沈黙」に続くシリーズの第三作目
(途中に前作「螺鈿迷宮」を挟むので「桜宮サーガ」としては四作目)
「ジェネラル・ルージュの凱旋」が堂々の登場。
いや、ここはせっかくだから凱旋と言っておこうか。

華麗なるジェネラルの凱旋!
と行きたいところだけど、駄菓子菓子。

それなりに楽しめたものの、評価はちょっと微妙でした・・・。

20101218.jpg


今回は「将軍(ジェネラル)」の異名を取る
救命救急センター部長の速見晃一の汚職が内部告発され
主人公の田口センセイが調査に乗り出す・・・

というお話。

それなりに面白い作品で、決して詰まらなくはないのだけど
シリーズの1作目、2作目、3作目・・・と回を追うに連れ
段々とスケールダウンしている感は否めない・・・。
前作の「螺鈿迷宮」が素晴らしかっただけに非常に残念デス。




救命救急医療は、警察や消防と同様に
「治安維持」の為の活動という色合いが強く
市民生活にとって欠かせないものであるにも関わらず、
その性格上、巨額の赤字を垂れ流し続ける不採算部門である事も必定。

また、現場スタッフへ強いられる負荷も尋常ではなく
「螺鈿迷宮」で描かれた終末医療現場と同じく
大切な事であるにも関わらず、財政的には驚くほどに
蔑ろにされている分野だなのだ!

・・・というような、現場からの悲痛の叫びが綴られている。
(筆者の海堂先生の本職は勤務医なのです)




そういったメッセージを世間に訴えるという目的は
十分果たしていると思うのだけど、なにぶんバランスが悪すぎる。

諮問委員会的な場での戦いも、
白熱したディベートというには程遠く
あっという鮮やかな論理展開が見られるわけでもなく
ライブ感とか緊張感を描ききれてないという印象が否めない。
そんな場面がダラダラダラダラと大半を占めてしまっていてウンザリ。

「ナイチンゲールの沈黙」との視点を変えてのパラレル展開
という手法(モジュラー型というらしい)に挑戦したものの
これといった必然性も感じられず、それで面白くなったわけでもなく
単なる小技で終わってしまった感が否めない。
(これで、否めないを3回使いました!)

速水将軍の振る舞いはカッコよかったんだけど
なんだか感想がそれだけになってしまったなあ、と。




まあ、救命病棟○○みたいに、イケメンの若い医師が
失敗と挫折を繰り返しながら、成長していく感動ストーリー(笑)
みたいな陳腐でうわべっ面なやつよりもずっといいとは思う・・・。
そう、決してツマラナイ訳でもなく、テーマとしては面白いのです。

映画版はまだ観ていないのだけど、ダラダラを上手くまとめて
再構成してあればとても楽しいんじゃなかろうか。
主人公が女性化されて竹内結子で、脚本は大幅に変わってそうだしね。
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