Middle Tempo Magic 向日葵の咲かない夏

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向日葵の持つ、土壌の放射性物質を吸収する能力は、あらゆる植物の中でもトップクラスであり、通常であれば平常に戻るまで30年以上もかかるという汚染であっても、僅か20日間で除去出来てしまうという、驚異的なものなのである。その性質を利用して放射能汚染を除去する(これをファイトレメドレーションという)研究が、実は30年以上も昔から続けられている。向日葵って言うと、夏のシンボルというイメージが強いが、何気に向日葵の栽培で世界一はロシアであるという事と、このファイトレメドレーションは無関係ではないとか、関係ないとか。なにはともあれ、今回の原発事故の対策の1つとして向日葵が注目を浴びているのも確か。もしかすると福島県が向日葵の名産地となる未来もあるのかもしれない。

という、散々手垢の付いた話は全然関係なくて、久々に読書の話。
本はずっと読んでいるんだけど、記事にしようという気持ちになるような
作品になかなか出会う事が出来ず、不作続き・・・。

そんなこんなで久々にメガネにかなったのが
道尾秀介先生の「向日葵の咲かない夏」です。
人気あるよね、道尾秀介。

◆◆◆◆◇

内容が気持ち悪い。
2/3が超つまらない。

あまりにつまらなくて。
普通の厚さの小説なのに、読むのに1週間以上かかってしまった。
このつまらなさは、昔、情報処理の午後試験をエスケープしてしまった時に似ている。
ムダに長いこのブログのように、途中で投げ出したくなるのだ。

でも悔しい。

何故なら、最後の1/3がめちゃくちゃ面白くて、全く先が読めない、
ええと、ややこしい言い方になるけど、ページはどんどんめくれるんだけど
オチの予想が全く付かない、裏切られて裏切られっぱなしだったからだ。
でも期待は裏切らない。

そんな、この作品をサッサリ風味で説明すると、
主人公の小学生のクラスメートのS君が自殺してしまうんだけど
実は他殺なんじゃないかと調べるというサスペンス。

・・・なんだけど、かなりの変化球だし
冒頭に書いたように気持ちが悪い。

蔓延する歪んだ精神世界の気持ち悪さは
汚れた水が染み出してくるようなと言ったらいいかしら。

この気持ち悪さをガマンしつつ、序盤に登場する最初の変化球に
エエエエーーー？とゲンナリせずにラスト1/3まで読み進めていくと
物語と共に、面白さが突如加速する。
変化球も何もかもすべて、最初から手の平で転がされていたのかという驚き。

でも、受け入れられない人には無理かなあ。ヤッパシ。
正直、自分にとっても、素直に面白かったとは言い難いものがある。
だから「悔しい」というのがしっくり来る表現かと。

まあ、とりあえず、他にも人気作があるので、読んでみようかと思います。