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犬の力

わたしの魂を剣から、
わたしの愛を犬の力から、
解き放ってください。
[詩篇二十二章二十節]

というわけで、ドン・ウィンズロウのベストセラー「犬の力」を読んだ。

DSC00891.jpg

本作品は1975年から2004年までの29年間に渡る
ラテンアメリカを中心とした壮絶な麻薬戦争を描いた物語である。

主人公の1人は米国の麻薬捜査局DEAの捜査官アート・ケラー。
対するのはメキシコの最大の麻薬カルテル「バレーラ・一統(パサドール)」。

単純なドンドンパチパチものかと思いきや、そうは問屋が卸さない。

登場人物がいっぱいで、しかも慣れないスペイン風の名前だし
日本とは文化的なつながりも希薄だしで、人物像や情景が連想出来ず
訳文にありがちな難解でクドイ言い回しさも手伝って
読み進めるのにムチャムチャ時間がかかってしまった。

って、ポイントはそういうとこじゃなかった・・・。
この作品のすごいところは、麻薬戦争の舞台裏、不都合な真実を詳細に描いている点。

いちおう正義?の側である捜査局内もイデオロギーからして一枚岩ではなく
麻薬犯罪撲滅を心から願う人がいるかと思えば、麻薬戦争支援の笠を借りて
南米の共産勢力とか反米組織を制圧しようと考える輩もいる。

それどころか、麻薬が生んだ金がアメリカの反テロ作戦に流れ込み
CIAの作戦で芥子畑を焼き払ったかと思えば、もう一方では何食わぬ顔をして
麻薬組織に肩入れをし、麻薬組織がメキシコの裏の実験を握り政府を動かして・・・
という具合で、もうわけがわからない。

対する麻薬カルテル側はといえば。
ファミリーの血は何よりも濃く仁義の世界で生きてるはずの
マフィア達も古代中国人もビックリの嘘と裏切りの押収だし
もう、仁義なき戦いっていうか、違う意味で仁義なき戦いの様相。

数多く登場する人物は魅力的で、悪役、いい者役を問わずに
濃いバックストーリーが描かれる。

と思ってたら、特に筆頭主人公の捜査官アート・ケラーに至っては
運命にもてあそばれすぎて好感度イマイチ、全く共感できず。

当初、アート・ケラー視点で正義の為に戦う体の話だったのが
途中から、正義も糞も放り投げて、ただただ復讐の為に血で血を洗う
修羅の道を歩むお話になってしまった。

というわけで。

よく出来ているし、興味深い内容なのだけど、上下巻を面白くて一気読み!
という感じではなく、半ば完走するところに意味があるみたいな気持ちになってしまった。
訳文がもう少し美しければねえ・・・。
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