Middle Tempo Magic 夜のピクニック

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夜のピクニック

近くにいなければ、忘れられる。
忘れられれば、存在しないのと同じ。
じゃあ、存在しなくなれば、忘れられるのだろうか。

恩田陸の「夜のピクニック」を読みました。

主人公の彼が何度も自問自答したこの言葉と
浮気して子供を作って今はもう亡くなった
彼の父親の気持ちがすごく気になってしもうた。

半分ほど読み進めるまで、ホント白々しくてつまらなくて・・・。
もう何度となく本をぶん投げそうになるのを我慢したことか。
が、後半に入って主人公二人の内面の描写が多くなるにつれ豹変。

セイシュンっていう、聞くだけでぐにゅっと気分が悪くなる
NGワードが一見、表にありつつも
人と人のココロの距離について思い悩んだりと
キモチの内面を抉られるような事が多かったのです。

以下、書いた後で、読んでみたら長いし意味がわかりません。
ので、ご注意。

我思う、故に、我あり
ってコトバがあるけれど、そうだよなあと思う。
言わなければ思ってないのと同じで
思ってなければ、認識してなければ、ないのと同じ。
と、ここんとこ一年ぐらいよく思うのです。

世の中、本当の事とか絶対的なものは
それは確かにそこにあるんだろうけど
自分にとっての本当の事は自分の中にあって
自分が感じ、考え、認識した事が全てなんだよなあと。

で、矛盾してるかもだけど、その、自分っていうのは
人に認識されて初めてそこにあるんじゃないかな、ともね。
鶏と卵のどっちが先か？な、相対的論だけど。

俺様は誰がなんと言おうと俺様であることに変わらんぞね。

という絶対的な自信と信念があったところで
人と人の中で生きていく上で、人を形作るものは
他の人の認識なんじゃないかしら?

人との距離感がわかんない。
ある人は私を希薄だって言う。
ある人は鬱陶しく重たいって言う。

自分がこうありたいって願う姿は
実は誰々にとって自分がこうありたいって願う姿で
誰々ってのも自分の中でこうあって欲しいと思う他人の姿だ。
そんな怪しげで不確かなとこに、自分の勝手な認識を押し付けて
距離感もくそもあったもんじゃないさね。

で、大回りしたけど、本の話に戻ります。

主人公二人も、特に融君の方は
自分自身の存在について考えるときに
自分の異母兄弟の存在を抜きにしては考える事が出来ず
憎み、羨みつつ、自問し続けるの。

でも、自分に対するわだかまりの正体が、
実はお互いがお互いに対するわだかまりでもあったんだと
やっと気が付くのですよね。

他にも人と人について考えてしまう事が色々あって。
頭がぐわーっとぐちゃぐちゃになったり自己投影したりな作品でした。

関係ないですが、登場する友人の弟君が
「ぼくたま」のリン君にイメージが似ている・・・。
って本当に関係ないですね。