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サウンドトラック

2013年の夏、たまごは古川日出男の「サウンドトラック」と出会った。

この作品も、例に漏れず手加減知らずにギラギラしていて、文学によるテロリズムのような、もんのすごいパワーに満ちた作品だった。
けど、あまりに奔放過ぎて、自分には消化しきれず、結局これはナンダコリャ?と、意味を考えてみてもうまく説明できないなあってのが、正直なところでもある。

しかし、熱は伝わった。

読みすすめるうちに、何かをしなくては!という衝動に突き動かされ、胸に宿された「コイツ」を胸に shoot してみたのが、先日のサウンドトラックと銘打ったエントリー2つ。
銘打ったって大袈裟でこっぱずかしいことこの上ないのと、間に別の記事が挟まってしまったのはご愛敬。

いちおう、お話はこんな感じ。

父親の船が遭難したトウタと、母親の無理心中の末、島に流れ着いたヒツジコ。
無人島でサバイブした二人は発見されて小笠原の島で兄妹として暮らし出します。

やがてヒツジコは里親に引き取られて東京で暮らすようになるのですが、継母に子供が出来るとともに、拒絶されてしまいます。
一方、社会になじめなかったトウタも東京に出て、不法滞在の労働者達の間で働きながら、アンダーグラウンドの世界へ足を踏み入れていく。
そして世界をぶっ壊すために、各々の方法で挑み始めるのです。

そしてもう一人の主人公となるのが、アラブ系移民のレニ。
この子はとある理由で、東京の地下に棲む傾斜人と呼ばれる民族を滅ぼそうとするさなか、トウタと出会う・・・。

といった感じで(どんな感じだ)、最初は「おおかみ子供」みたいな青春小説なのかと思っていたら、思いがけず、バイオレンスな展開になっていきます。

で、一番印象的だったのが、レニが映画の撮、師匠の居貫から教わるくだり。

本性を花開かせろ、お嬢。行動がお前の戦術になる。やがて戦略になるだろう。やがて動かないことも「行動」と理解されるだろう。その時だ。お前は圧倒的に誠実になる。その時だ。お前は圧倒的に卑劣にもなれる。こびる必要のない一切に対して。
「いいね」とレニはいう。そのハードは指導の合間に。「あたしは卑劣になるのが、夢よ」

(中略)

レニは意図的に構成して編集した。そのために必要な理論を居貫から日々叩き込まれる。
その映像は猥褻ではない。だが、確かに現実は姦淫(レイプ)されている。


レニはビデオカメラでトウキョウをゲリラ的にスナップしていくのだけど、その姿に、うまく言葉にできない閃きといいますか、何をやっても虚弱体質なアウトプットしか得られない自分にとって、何かたりないものを示唆する、表現のブレークスルーのようなものを見出したような気がしたのです。

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