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都市と都市

チャイナ・ミエヴェル著、日暮雅通訳「都市と都市」。

ヒューゴー賞など数々の賞を受賞というので期待して読んだのですが
訳書故か文章の語感が心地よくないなあとか
語り口があまり好きじゃなかったなあとかで、正直あまり口に合わずな感じでした。
設定は面白いだけに残念。







舞台となるのは「ベジェル」と「ウルコーマ」という
ヨーロッパのどこかにある架空の都市国家。

この二つの都市は、言葉も文化も全く異なるのに地理的には
クロスハッチ(モザイク)状に入り組んでいるという奇妙奇天烈な
形態をしているです。

要するに国中の至る所が小さな飛び地になっている状態なのですが
不思議なことに、エルサレムのように宗教戦争で町が分断され
日々、戦闘が行なわれているのとも異なり、
お互いの国民が、相手の国を完全に「見ない」ようにし
絶対に国境を越えないようにして巧に暮らしている。

ひとたび、他国側に干渉するようなことがあれば
「ブリーチ」と呼ばれる秘密警察のような人達が現われ
当事者達をどこかへ連れ去ってしまうのです。
たとえそれが偶然起きた交通事故であってもだから、徹底してる。

物語は、そんな2つの都市で起きた殺人事件を追うミステリーなのですが
刑事モノというよりは、この二つの奇妙な都市に関わる謎を
明らかにしていくようなところに主眼がある感じです。




最初、事実上同じ街に住んでいる人間達が、
あたかも別の場所に住んでいるかのように振舞うなんて
無茶だと思ったのですが、よくよく考えて見ると
あながち、あり得ないことではないとも思う。

というか、都市に住んでいる人間なら、実はいつもやっていることで
電車に乗っている他人の顔なんて完全に意識の外に追いやってるし
意識的に「見ない」ようにしている。
それこそ、女性をみたら、それだけでお縄になるなんていう
せちがない世の中ですし。

それに、都市とか田舎とか関係なく、数々の場面で我々は
他人に干渉しないように努めたり、都合の悪いことから目を背けたり
面倒なことに関わらないように無視したり。

架空のあり得ない都市の話のようで、実は自分の生きている世界を映す鏡のようだ。
そんなことに気が付いて、ちょっと面白いなとも思ったのですが
いかんせん、話がつまらない。





いちおうミステリーなのに、ただただ雑な筋書きという印象しかうけない。
かといって、せっかくの実世界の投影とかそういうとこに絡めて
何かメッセージがあるわけでもなければ、都市間の不思議な関係の謎が
明かされるかというと、さほどそういうわけでもなかったし、魅力的な登場人物も皆無。

不思議な世界観だけに頼ってしまった感が強くかったかしら・・・。
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