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永遠の0 その2

今日は仕事納めでした。
毎年の事ですが、冬休みってあまり好きじゃないのですよね。
寒々で寂しさに拍車を掛ける感じもそうですが、どこに行っても慌しいですし。

さてと、前回は大幅に逸れてしまったけど「永遠の0(ゼロ)」の話をしなくては。
別にしなくてもいいんじゃないかって声もありそうだけど、そんなことない。

これはどうしても語らなくてはならない、目を背けられないのだ。
一人の日本人として、いや、命ある人間としてか。

あ、写真と文章はあまり関係ありません。

DSC02139.JPG


永遠の0は百田尚樹のデビュー作。
かの有名なB級番組「探偵ナイトスクープ!」の放送作家さんでもあり小説家。
最近だと「ボックス」が映画化されましたよね。

本屋めぐりをしていたら積んであった「永遠の0」という
謎のタイトルに惹かれて手に取ったのですが、読み始めてなるほど。

「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」

終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。
そう言いつづけた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。

天才だが臆病者。

想像と違う人物像に戸惑いつつも、一つの謎が浮かんでくる・・・。
記憶の断片が揃うとき、明らかになる真実とは。


そう、ゼロは零戦のゼロだった。




健太郎の祖父「宮部久蔵」の事を知る人達を訪ね、
どのような男だったのか話を聞くという筋書きなのですが、
実は話の半分以上は直接の祖父にまつわるエピソードではなく
話し手達の戦争体験。

元若き帝国海軍航空兵だった彼らの視点で、
ラバウルやミッドウェーでの戦いの日々が語られ、
日本が何故戦争に突き進んだのか、あの戦争がどのようなものだったのか、
当時の軍部がいかに人命を軽んじられてきたか。
そして多くの事実が戦中も戦後も、歪められて伝えられてきたか。
といった事が明かされるのです。

また、まるで昔の剣豪を髣髴とさせるような、
誇り高き飛行気乗り達の熱い戦いのエピソードもいっぱい。
以前にこの日記でも取り上げた「大空のサムライ」の著者で、
海軍きっての撃墜王(エースと読む)坂井三郎をはじめ、
岩本徹三、西澤廣義といった実在のパイロットたちの名前も多く登場し飽きさない。

そんな数々のエピソードの中から、断片的に見えてくる祖父の姿。

一億玉砕の文字が新聞に躍った戦時中に零戦乗りでありながら
「死にたくない」とせつに願った男。
だけど、実は彼が特殊なわけではなかった。

将棋の駒のように捨てられていった、多くの若き青年たちの命。
後世では、バンザイアタックで知られるように皆がお国の為、天皇陛下の為に、命をかけて戦い、
まるで自滅を美学かのように伝えられている節があるが、当たり前だけど違うよね、と。

喜んで死んでいったものなどいなければ、洗脳されてもいない。
ただ、愛する家族を守るの為に、または己の戦士としての誇りの為に戦った。
誰も望んで死んだわけじゃないのだ。




本作品は、彼の生き様を通じ、ひとりの「命あるもの」として、
どのように生きるべきかものすごく考えさせられる内容だったと思う。
あれ、自分もこの平和な平成の世の中で、ツマンナイってばかり言ってないか?

人は何事も、身近にあるものほど、当たり前になってしまって、
それを無くすまで(無くしそうになるまで)大切な事に気が付かない。
命だって同じで、何故命は大切なの? 自殺や殺人は何故いけないの?
と聞かれたら実は明確な回答は難しい。

だけど、望むままに生きることを許されなかった人達が、
たったの60年前ちょっとの日本に大勢居た。
戦争を体験した人もほとんどが亡くなってしまい、
もはやフィクションみたいな世界だったりするわけだけど、現実なのだ。
生きることの明確な理由付けは難しいかもしれないけど、
死にたくないからの惰性じゃないはずだと思うのです。

ただ、残念なこともあって、文章的な面からみると、
感動とかそういうのはなかったかなあ。
上に述べた感想は、自分に考える事があったという話であって、
クチコミを見ると号泣しましたと感動しましたとかいう記述が多く目に付くんだけど
これじゃあ涙は出ない、出そうにない。

薄っぺらいといえば薄っぺらく。
主人公の設定とか考え方も、共感は出来ても無理があるし
自分の中での矛盾を解決出来な息もしてすっきりしない。
あたかも事実として書いてある戦況についても、一説に過ぎない部分もあり。
変にミスリードを誘う書き方が鼻に付いてね・・・・。

文章も、これぞ作家って感じの美しい文体とかではなくて、脚本的っていうか。
琴線に触れることがないのですね。
鹿児島の知覧基地跡の記念館(行ったこと無い方はぜひ訪れてみてください)にある隊員の手紙は、
もう、気が付いたら涙でボロボロになってしまって先が読めないぐらいなのだったのだけどなあ。
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