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きいろいゾウ

2014年の1冊目。

西加奈子「きいろいゾウ」

これはとても良かった。
今の自分にもちょっと苦い良薬にもなったんじゃなかろうかとも思えたし。
ほんとに多くの人に薦めたい。

西加奈子センセイといえば以前に「さくら」を読んだことありました。
これも(特に犬好きには)ホロリと来るいい作品でしたね。




東京~田舎へ移り住んで暮らし始めた売れない若手小説家の「ムコ」さんと、奥さん「ツマ」さん。

ちょっと不思議ちゃんのツマと、おっとりなムコさん(でも、背中に大きな鳥のタトゥーの入ってるし、メガネで坊主頭だし、謎の暗い過去は?!)の二人と、ご近所さん達の織り成す、心温まるハートフルストーリーかと思いきや、意外と意外とそうでもない。

ほんわり暖かい文体とは裏腹に、人と人の間に隔たる美しくも脆く
デリケートな領域に踏み込んで自問自答。

そして、物語の後編、事態は暗黒面へ急変する。
あの優しかったムコさんがツマを置いて一人東京へ・・・。




夫婦の間の物語でもあり、社会との繋がりとの物語でもあると思った。

愛っていうのは決まった形はないだろうし分析したり定義づけられうもんでもないけど、きちっと想って気遣い掛け合えるというのが、いちばん大事じゃなかろうか。
それって別に特別でスゴイこと言ってないじゃん、ってなりそうだけど、それが確かにそこにあるってのはスゴイことだと想う。
物語は宗教色があるわけじゃないけど、キリスト教的だなあとも思う。

というのも、子供の頃、教会で話を聞いたのです。

罪を犯して自分でも俺は最低な野郎だって打ちひしがれてるんだけど、罪人である彼には誰も目をくれないから、捨て鉢になってるジャン・バルジャンみたいな人がいたのだけど「神は愛です」という聖書の言葉に出会って、号泣し更正したと。

話を聞いた当時は、「はぁ? 意味不明」だったけど、今はなんかわかる気がする。
よーするに、自分を無条件に受け入れてくれる人がいて、自分がぴたっとはまる居場所があるって素晴らしいことだなあと。

と、そんなこと言われても、「はぁ? 意味不明」だと思うのでぜひぜひ読んでください。




もひとつ、感銘を受けた部分があって。
それは、文章。

一見、私かわいいでしょ?狙いの森ガール(もう死語?)的な、ふわっとかわいらしいチョイスだけど、コトバのひとつひとつが本当に丁寧で美しい。
やはり日本語の本がよいなあと、と思った。




そうそう。

読んだ後、今日たまたまツタヤに行ったら、映画がおいてあった。
向井理と宮崎あおい主演みたいだけど、そういえばCMを観たことがある気がする。

向井理って、本で想像したムコさんの姿とは似ても似つかないし、どう考えても、人気のイケメンを使ってみましたという感じを払拭できないし、宮崎あおいも、あざとすぎるような気が・・・。
(誤解されるとアレですけど、お二人とも自体は別に嫌いじゃないですよ)

文体やあらすじだけから想起されるような、単なるサブカルっぽくてで女子力高いでしょ? みたいな内容だったらどうしようとか、ちょっと心配です。
でも気になるから観たい気も多少します。
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